鑑定評価=プロファイリング?~鑑定評価の基本的な発想と『正常価格』のリアルなイメージ

先生は今後多くの鑑定書を見ることになり、また不動産鑑定士とタッグを組んで訴訟における作戦を立てて行かれることになるでしょう。

この中で、『不動産鑑定士という人種が、どういう発想で価格を出しているのか?』を知っておいていただいた方が、話がスムーズになります。

また、不動産の価格が激変している際に、鑑定士が出している価格の立ち位置を知っていただいておかないと、議論がかみ合わなくなってしまう事も考えられます。

ということで、この記事では、不動産鑑定士がどういう価格を、どういう発想のもとで考えて出しているのかについてまとめてみたいと思います。

尚、鑑定の領域の中で、継続賃料・立退料に関しては、特定当事者間の調整の要素が強くなることから、この記事の発想とは異なりますのでご注意ください。

正常価格=実勢価格≠理論的な価格

まず、鑑定書で求めることのになる『正常価格』というのは、『実勢価格』と読み替えてもらって結構です。

これだけを読みますと、「何を当たり前のことを…」と思われるかと思いますが、実はこのあたりについて鑑定業界では揉めたことがありまして、昔は『あるべき理論的な価格だ』という発想も強かったです。

ただ、この点は平成14年に行われた鑑定評価基準の改正(大改正でした)で、明確に『ある価格(市場で買える価格)』だと改められました。

この差はどんな時に出るかというと、バブル等の不動産価格の激変時です。

好況時には、不動産も「我先に」と買い漁られますので、勢いに乗って実力以上の価格・理論上は破綻した価格が付きがちです。

また逆に、バブル崩壊期などの不況期には、どうしようもなくなって不動産を手放す人も増えるので、実力以下のバーゲン価格での取引が多くなります。

このような場合においても、鑑定士が出している『正常価格』は、みんながバブルで躍っている時は実力以上だとしても市場で購入可能になる高い価格・みんながしょげ返っている時は赤札大バーゲンだとしてもそれで買えてしまう安い価格ということになります。

鑑定士が価格を出す行為=プロファイリング

上記の建付からの帰結なのですが、

  • 鑑定というのは鑑定士が独自資料・独自の分析等を駆使して理論的に正しい価格を出すものでは無く、
  • その物件の買主の視点に立って、買主が「これで買おうと思って、かつ、それで買える価格」を出す作業

という事になります。

ですので、

  1. その物件の性格を分析して、
  2. その物件を買おうと思う人がどういう人なのかを洗い出して、
  3. その人なら物件購入にあたってどんなことを重視し、逆にどんなことなら気にしないのかを推定して、
  4. その人がこの物件を買おうと思う価格を導き出し、
  5. それを踏まえて、現実での市場における需給関係の中で成立するであろう価格を導き出す

というプロセスになります。

刑事ドラマとかで良くあるプロファイリングに非常に近い作業といってよいのでしょう。

尚、そうは言いながらも、鑑定評価基準には「理論的な価格を出せ」みたいな趣旨の記述がいくつか残っていたりします。その部分を引用して「理論的な価格云々」という主張をされても、有効な主張になりませんのでご注意ください。

 

以上、鑑定士が出している『正常価格』のイメージと、鑑定評価の中で価格を出す際のイメージを解説させていただきました。

この辺りというのは、正直あまり語られるものではないのですが、しっかりとした議論・作戦の立案等を行う前提としては、我々の基本的なスタンスをご理解いただいておくと違ってくる部分も多いかと思います。

また、『正常価格のイメージ』に関しては、この認識の中から逆に、交渉等の過程であえて『理論値としてのあるべき価格』も提示していくという発想も出てくるでしょう(特に価格の急変期)。

これも、状況によっては有りだと思います。但し、鑑定士としては鑑定評価書では対応できませんので、調査報告書等での対応になりますが…。

以上、さらっと斜め読みしていただいて、何となく頭の片隅にでも置いておいていただければ幸いです。

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