記憶・感覚はアテにならないので、事前調査を(淀屋橋・本町オフィスエリアを題材に)

私が鑑定の作業をしていて、結構な頻度で遭遇するのが、「自分の記憶・感覚ってアテにならないなぁ…」ということです。

もちろん、今の地価や賃料の水準について、大きく外すことは無いのですが、継続賃料とかで十数年前とかになると、「調べてみてあらあら」って思ってしまうことも多々あります。

今回は、2021年11月現在、まだまだ賃料増額の話が中心になっている淀屋橋・本町のオフィスエリアの賃料を題材にして、先生方にもこういうのを実感していただきたいと思います。

淀屋橋・本町エリアの賃料・空室率の推移

まずは、淀屋橋・本町オフィスエリアの平均募集賃料(月坪)と空室率を、三鬼商事(株)発表のオフィスデータを基にグラフ化してみました。

棒グラフが賃料なのですが、『最近物凄く上がっていて、リーマンショック前の水準を軽く超えている』ようなイメージがあると思うのですが、実際にデータで見てみると思っているほど上がっていません

それどころか、直近合意時点がH23以前だと、「周辺賃料が上がっている」という主張自体も、言いにくくなってしまいます。

折れ線グラフの空室率についてみると、『いまだかつてない低水準』であることが確認でしますね。いわゆるファンドバブルの頃よりもはるかに低い水準になっています。

近時の賃料が上昇に転じたのは、空室率が5%(好況・不況の目安と言われています)を切ったころからでしたが、「今一歩上げきれなかったのは、長期間の空室に悩まされてきたビルオーナーさんが、なかなか強気になれなかったのかな?」というような妄想も浮かんできます。

淀屋橋・本町エリアの賃料・地価の推移

次に、前記のグラフの空室率を、御堂筋沿い・「本町」駅至近に存する地価公示ポイント『大阪中央5-1』(中央区備後町3-6-2)の価格に差し替えて作ったのが以下のグラフです。

アップ・ダウンの流れは地価も賃料も同じようなイメージですが、最近の地価はリーマン前の水準を超えています。

賃料はリーマン前の方が高いのに、地価は今の方が高いというのは気持ちが悪い部分もあるのですが…収益不動産の利回りの低下が原因ということでしょう。

上記の帰結

上記のように、人間の記憶・感覚はあてになりません

また、直近合意時点・価格時点の家賃推移を検証する際に、家賃よりも調べやすい土地価格で行うことも多いかと思うのですが、上記の通り地価と家賃は連動していない部分も有ります。

ですので、特に継続賃料の相談を受けた際は、面倒に思われるかもしれませんが、信頼できる不動産鑑定士にご相談いただいて、現状をしっかりと認識したうえで対策を組み立てるほうがよろしいかと存じます。

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