不動産鑑定評価書と意見書・調査報告書の違い

不動産鑑定に関連する成果物として、鑑定評価書の他、簡易鑑定・意見書・調査報告書・査定書等の名称で呼ばれるものが有ります。

正直、あまり厳密な区別が無い部分もあるのですが、以下で整理しておきたいと思います。

鑑定評価書

鑑定評価書は、不動産鑑定評価に関する法律・不動産鑑定評価基準に基づいて、鑑定士が署名・押印を行い、不動産鑑定業者が発行する文書です。

簡単に言いますと、鑑定士・鑑定事務所が発行する正式文書で、裁判等での証拠力も最も高いものです。

言い換えますと、訴訟等の中でこちら側が鑑定評価書を出した場合、相手方がこれを否定しようとすれば、相手方も鑑定評価書を出さなければ難しくなります。

簡易鑑定

昔、鑑定書を取る予算が無い場合等に、鑑定書を簡略化したレポートが『簡易鑑定』という名称で発行されることが有りました。

現在は、業界ルールの変更で、上記の『鑑定評価書』以外で鑑定という言葉を使う事が禁止されているので、『簡易鑑定』なる名称の文書を発行することは出来なくなっています。

査定書

厳密な定義は無いのですが、『査定書』という言葉は、鑑定業者が発行する文書ではなく、宅建業者が発行する価格等を示した文書に対して使用されることが多いです。

意見書・調査報告書

不動産鑑定業者が発行する、鑑定評価書以外の価格・賃料等を示した文書が『意見書』・『調査報告書』です。

『意見書』と『調査報告書』の内容に区別は特になく、また、オリジナルな名前を付けて発行することも可能です(但し、『鑑定』の文字が入るとルール違反になります)。

特徴としては、

  • 一般に鑑定評価書より安価な報酬で発行されることが多いこと
  • 鑑定評価基準に準拠されず、また鑑定評価基準で行うべき手順の一部が省略されること
  • 調査等の結果のすぐ近くに「上記結果は、価格調査等の手順が、不動産鑑定評価基準に則っていないため、不動産鑑定評価基準に従った鑑定評価を行った場合には、結果が異なる可能性が存する。」という文言が入ること

が挙げられます。

訴訟等における証拠力の点では鑑定評価書に劣りますが、鑑定評価書までは不要な場合等にはリーズナブルな選択に成り得ます。

お問い合わせ

携帯電話からも利用可なフリーダイヤルを用意させていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。

受付時間は、土・日・祝日を除く9:30 – 18:30となります。
メールでのお問合せはinfo@usui-rea.com(受付は365日・24時間)まで。

タイトルとURLをコピーしました