訴状・調停申立書で、不動産鑑定士からの印象をアップする5つのTips

職業柄、訴状や調停申立書を見ることが多いのですが、様式等満たしていても、不動産ならではの観点で、「ちょっと勘弁してください…」と思ってしまうようなものも多いです。

これに私的鑑定の立場でからむ際は、「まあ、お客さんなので…」と広い心を持てるのですが(笑)、第三者鑑定等の場合には、正直ちょっとイラっとする場合があります。

もちろん、それによって結果を左右させたりはしないのですが、担当鑑定士が「ああ、この弁護士の先生は分かっているなぁ…」と思うことから生じるデメリットは全くないので、『弁護士の先生へのお願い』も込めて記事にしてみました。

1.住居表示は、あれば絶対に書いてください

不動産の場合、登記簿等に記載された『地番』(1筆に一つの番号)と、郵便等が円滑に届くようにつけられた『住居表示』(1建物に1つの番号)があります。

住居表示を書いていただけると、一般的なウェブ地図などでこれをそのまま打ち込めば場所を特定できるので、非常に楽です。

これに対し、地番ではウェブ地図等では特定できず、公図等からあたっていかなければならず、ひと手間かかります。また、公図はめちゃくちゃな場合もあり(公図混乱地域と言います)、場合によっては公図をとっても場所を特定できない場合もあります。

もちろん、住居表示は実施されていない地域もありますし、建物が無いと住居表示が付かないので、「必ず書いてください」とは言えないのですが、あれば必ず書くようにしていただけると、「ああ、分かってる先生や~」という印象になります。

後、物件特定等に役立つ情報として、ビル名・商業施設名等がある場合は、これも記載いただけると有難いです。

2.広域地図・住宅地図をつけていただけると、なお有難い

住居表示が無い場合はむろんですが、ある場合でも、広域地図(最寄り駅等まで含めて入っている地図)・住宅地図(周辺の表札・ビル名等が分かるもの)も付けていただけると、分かりやすさが格段にアップします。

住宅地図の場合、敷地の形を枠線で囲っていただけると、尚有難いです。

これらが無い場合、鑑定士だけではなく、調停委員・裁判官もウェブ地図とかを広げて「ここかな~ここかな~」なんて作業を行うことになります。

これがあれば、「あ、なるほど!」とすぐに次の作業に入れます。

この印象の差は、結構大きいと思います。

3.土地・建物の登記簿、賃貸借契約書等も付けていただきたい

訴状の場合、通常これらがついてきますが、調停申立書の場合にはついていない場合も多いです。

しかし不動産に関連する事件の場合、とりあえずこれらで確認をしたいと思うのが人情ですので、面倒くさがらずにつけていただけると有難いです。

尚、対象不動産が土地・建物で構成されている場合は、双方をお願いしたいです。また、法務局で取れる公図・地積測量図・建物図面もついていると非常に有難いです。

4.賃料は「税抜き表記」で&「共益費込み」か否かも明確に!

賃料についてですが、鑑定評価では「税抜き」で見ていくのと、消費税の税率変更をまたぐ場合も多いので、「税抜き」で記載されていると、「どっちなんや?」って悩むことになります。

ここはぜひとも税抜き表記(もしくは税込み・税抜きの併記)でお願いしたいです。

また、共益費に関しても、共益費込み・共益費抜きの場合が混在していますし、市場での賃料形成は共益費込みで行われるという実態があります。

ですので、共益費込みでない場合には、「賃料〇〇円・共益費△△円(ともに税抜き)」・共益費込みの場合「賃料〇〇円(共益費込・税抜き)」というような表記にしていただけると有難いです。

5.賃料増額の場合、直近の成約賃料も付けていただきたい

今なお非常に多い賃料増額事件ですが、この際には現行賃料と新規賃料との乖離が焦点になります。

その際に有力な資料になるのが類似物件の近時の成約水準です。

家賃増額の場合、原告(もしくは申立人)は、当該物件のオーナーなので、当該物件の他テナントの成約実績は持っているわけで、これを予め出していただけると、非常に参考になります。

一棟貸しであったり地代であったりする場合も、そのものずばりは無くても、類似物件の成約水準をお持ちでしたら、これを出していただけると非常に有難いです。

もちろん、出すことによって不利になる場合もあるでしょうし、コンプライアンスの関係で出し方の工夫は必要ですが、どこかで要求されるものだと思いますので、極力最初の段階で出していただけると有難いです。

この記事のまとめ

この記事では、不動産鑑定士の立場から、訴状や調停申立書を見ていて、イラっとする部分を挙げさせていただきました。

ちなみに1時間ほど前に、その種の書類を読んでいて、場所特定に難儀して、賃料計算を「税金・共益費どうなってんねん!」って思っていたところで、そのイライラを記事に昇華させた次第です(笑)。

再掲しますと、

  1. 住居表示は、あれば絶対に書いてください
  2. 広域地図・住宅地図をつけていただけると、なお有難い
  3. 土地・建物の登記簿、賃貸借契約書等も付けていただきたい
  4. 賃料は「税抜き表記」で&「共益費込み」か否かも明確に!
  5. 賃料増額の場合、直近の成約賃料も付けていただきたい

です。

先生の印象アップにもなりますので、なにとぞどうか、よろしくお願いします。

※記事の内容に対するご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。


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